プロデュース公演『ヒミズ』を終えて。

何よりも、この公演に乗り切ったのは僕です。
あなたじゃなく、彼じゃなく、誰でもなく僕。
自分の欲求を信じて、時間をかけてきたことです。
本当に特別な事でした。
自分でやったことに自分にとって意味がありますから、
うん、何を言われようと、どう思われようと僕はやりたかったから
やりました。

作品の中身については、
別に語ることは何もありません。
見てもらったまんまだし、
それが僕が考えたまんまです。

本当に誰も得のしようのない公演です。
まあ、途中いくつかの利己主義のアホどもの、
少しでも得をしようとしたいのかなんなのか、
僕の思い通りにならないような状況にも対面しました。
でも、多くの人たちが、
時間をかけ手伝ってくれた事を本当に感謝します。
この公演に参加した事がなにかのきっかけや、
後に残っていく大切な時間となってくれたらと思います。

そして、何よりも、
会場に足をお運びくださった皆様。
チケットを買ってくれた方々、
チケットが手に入らず会場に入れなかった方々。
本当に、本当に、うれしいです。

また逢えたらと思います。
またあって今度はもっと深くと思います。

ありがとうございました。

                僕AREA←Spectators[B.A.S.]代表 Oi-SCALE 林灰二 



拝啓 古谷実 様


 桜が散って、少し寂しい気持ちになります。
 寂しい気持ちになるのは、他の理由もあって、僕は夏が嫌いだから、冬が終わって、どうしても
 今が夏への準備期間に感じるから。
 僕は毎年夏にへこたれる。
 いつも、もっと春を満喫して夏への準備をしておけばよかったと悔やみます。
 
 川の下流の海に近い部分。
 塩水になれずに海にでて、塩辛さにやられてしまう若い魚のように。

 玄関のドアの覗き穴の魚眼レンズの向こうには、魚のような顔した社会人たちがうじゃうじゃい
 て、やっぱり僕は自分の極周りの塩水がなるべく薄い世界でうろついて物語りなんかを発想して
 います。
 でも、きっとずっとはここに居ない。
 川の流れに流されただけの理由で、僕はここに居るんじゃなくて、少なからずどの流れに乗るか
 は選びながらはここに来たはずだから。

 海にでるまではただひたすらにそこに向かうしかなかったけれど、海の水はどこにも向かわずに
 、やっぱり限りある中をぐるぐる回る。

 例えば、毎日のように。
 例えば、季節のように。

 物語はいつも何かの一部分で、それはある人間の一時期だったり、ある時代の一時期だったり、
 それがすべてではないから、だから物語りは幸福だとか不幸だとかは僕には言いにくい。

 住田にだって、過去や未来があるとするならば、僕は「ヒミズ」という作品にへこたれてばかり
 はいないで取り組もうと思います。
 とても辛い物語だったけど、やがて厚い雲が晴れて月が見える事だってある。
 未来に待つものがいつも現実と言う悲劇だとしても、未来があったと言う事だけにも少しは救わ
 れてもいい。

 何を言おうとしても、うまく文章では表せません。

 「ヒミズ」が今回舞台になる事をお許しいただいて有難うございました。
 古谷さんが今「シガテラ」を書いていることに、僕は勝手に勇気がわきます。
 頑張ってください。
 僕も頑張ります。
 
 せめて梅雨が訪れるまでは、暖かい日々が多く訪れたらと甘えた気持ちを持ちながらも、今年の
 春も過ごせたらと思います。
 
 敬具
 
                                  Oi-SCALE 林 灰二